意識のレベルで見る世界
2020.12.19
様々な意識の発達段階の人々が共存する世界
私たちが生きていく上で、人と関わらないということはあり得ません。
必ず、どんなカタチであれ、人と関わりを持ち、何らかのコミュニティの中で生きていくことになります。
人と関わる中で、気の合わない人や意見の合わない人が必ず出てきます。価値感や感性が全く異なり、いくら話しても平行線だったり、理解してくれようとせず、また、自分自身も相手のことを理解できない。また、時に真っ向から対立して言い争いになったり、感情的になって気分が悪くなったり。それとは逆に、特に話をすることもないのに、居心地がよく、一緒にいて違和感のない人や考え方や意見がとても近く、お互いにわかり合える人たちがいます。
こうしたことは、ただ考え方が同じだったり、性格が近いのかなとか、感性が合うのかなと考えたりしますが、実はそれには、意識のレベルが関係しているのです。
意識のレベルと聞いてどう感じるでしょうか?レベルと言うことは高い、低いがある?
「あの人は意識が低い」「レベルが低い」と言ったりすると思います。意識が低いと批判するのは、低俗で、モラルに欠け、社会規範を無視するような人と言うことでしょうか・・・
逆に意識が高いと言う人は、協調性があって、人々のことを思いやったり、地球環境に配慮したり・・・
実は、この意識について、いろいろな角度で研究されていて、この意識を段階的なレベルに分けて見ると、なぜ、あの人と意見が合わないのか?なぜ、あの人はあんな人生を送っているんだろうとか、性格タイプとは異なる、その人の生き方の背景にあるものが理解できます。
以前のブログで、デパートの階に分けたパラレルワールドのお話《記事/あなたは、あなたが生きたい世界に生きている》をしたのですが、そのベースとなっている考え方に、この意識のレベルがあります。
これらを意識的な進化、発達段階があるととして研究した人々がいます。それが人間の意識の発達段階を8つのレベルで表したクレア・W・グレイブス教授(1960年前後の期間に研究発表)やその意思を受け継いだドン・ベック博士によるスパイラル・ダイナミクス、1977年代に意識のスペクトルを発表したケン・ウィルバーで、意識の成長、進化についての彼の考え方、研究はカウンターカルチャー全盛の当時、非常に注目され、現在では、この意識のスペクトルやグレイブス教授の理論を発展させ、組織論に応用したのが、近年話題のフレデリック・ラルー氏の「ティール組織」です。
そんな中で、今回は、あまり知られていないかもしれないけれど、知る人ぞ知るデイビッド・ホーキンズ博士の意識のレベルについてお話しします。
よくこの話をすると、あの宇宙論の?と聞かれる人がいるのですが、それは理論物理学者のスティーヴン・ホーキング博士ですね。。。
デイビッド・ホーキンズ博士の意識のレベル
精神医学博士デイビッド・ホーキンズ博士(2012年に他界)は、日本では、いや世界でもほとんど知られていないと思いますが、博士の研究した意識のレベルについては、日本でも「パワーかフォースか」という本が翻訳出版されています(現在、日本の出版元が変わってナチュラルスピリット刊、Kindle Unlimitedでも読むことができます)。マザー・テレサやウォルマート社長のサム・ウォルトン、元クライスラー社長のリー・アイアコッカも愛読したというこの本。著作『「頭のいい人」はシンプルに生きる』などでも有名な作家ウェイン・ダイアー博士や生き方やスピリチュアル系の質の高い本を出版するアメリカでもっとも成功した出版社のひとつヘイ出版の創業者ルイーズ・ヘイさん(お二人とも残念ながら近年他界)なども高く評価していました。
私はこの「パワーかフォースか」を読んで、非常に衝撃を受け、2006年にデイビッド・ホーキンズに連絡を取ることができ、アメリカは、アリゾナ州セドナにお住まいだったホーキンズ博士を訪ねて、インタビューさせていただいたことがあります。
この本は、非常に素晴らしい本なのですが、やはり読者の意識レベルによって、この本の内容が誤解、誤用されているケースも見られ残念なこともあります。
この本をしっかりきちんと読んでもらえたら、正しく理解できるので、そのような誤解は起こらないはずですが、意識の段階によって、自分の都合のいいように解釈されてしまう方もいるようです。
この本を引用し、自分自身はいわゆる高い意識レベルの人間であると、だから、あれはレベルが低く、これはレベルが高いと判断し、批判的に物事を見て、自身の活動に誘導しようとする人もいます。
高い意識に至ると、ジャッジメント=判断はなくなるので、そういう見方はそもそも間違っているのですが、そうした判断をされていた方も少なからずいたので、やはりこうした本は扱いが難しいなと感じたものです。
ともかく、人間には意識の段階があって、高次の意識レベルに至ると意識は大きく開かれて、愛や喜び、平和の存在となり、最終的には悟りの段階に至るというものなのですが、この意識のスケールを見ると、まだ、意識がある程度の段階に開かれていない人は、やはりどうしてもそのようにしか世界を見ることができない、理解することができないために、わかり合うためには努力やチャレンジが必要だと言うことが分かります。
内なる力パワーと強いる力フォース
さて、この意識のレベル。ホーキンズ博士は、「意識のマップ」というカタチでまとめられています。
博士に直接お会いしてお話を聞いたのですが、小柄な方でとても穏やかな雰囲気の方でしたが、内に秘められたとても大きな存在のパワーを感じられた、まさに老賢人と言った方でした。
詳しくは、ぜひ「パワーかフォースか」という本を読んでいただきたいのですが、と言うのも、今回お伝えする「意識のマップ」の表だけ見ると、本質を誤解されてしまう怖れがあるからです。
この意識のマップができた背景や博士の考え方、そして、何より博士が考える意識について、また、この意識の数値的レベルについて、しっかり読んでいただくとその奥の意図がよく分かります。なので、間違っても、ここで紹介する意識のマップの表だけをみ見て、表面的に意識のレベルを理解、扱わないでいただきたいと思います。
パワーとフォースの違いとは、パワーは「意味」から生じていて、動機や原理とも関係しています。パワーは私たちを高揚させ、気高くするものです。フォースは部分的なものに関与し、パワーは全体に関与します。一言で言うと、パワーは内側から生み出される力で、フォースは何かを強いる力だと言うことです。ちなみに、軍隊はForceと言います。米空軍=US Air Forceなど
パワーはそれ自体で完全な力で、外部からの何も必要としない無限に動機づけてくれるものだと言うことですが、フォースは絶えずエネルギーを与える必要があり、絶えず消費されるものだそうです。フォースは判断や批判と繋がっていて、パワーは慈愛と繋がっていると言うことです。
スターウォーズでも「ルークよ、フォースを使え」と言うセリフが有名なように、ジェダイの騎士が使うサイキックなエネルギーをフォース(=理力)と言っていたので、フォースをいい意味で捉えていましたが、確かにフォースは何かを動かすことに使う、つまり強いるエネルギーであることは確かにそうで、パワーは権力のような意味もあるので、勝手なイメージで誤解していましたが、どちらがいい悪いではなく、本質的には内なるパワーを高めていくと言うことが必要なんだと理解できます。
スケールで表した意識のマップ
意識のレベルを研究した意識のマップは、ホーキンズ博士が統計学的に導き出し、スケールにしたものですが、博士は、キネシオロジーテストという、筋肉の筋反射を用いたテストを健常者のみならず、障がいを持たれた方も含め、20年間で約2万人に、合計20万回以上のアプライドキネシオロジーテストを行って、得られたテスト結果からこの意識のマップは検証されているものです。
キネシオロジーとは、人体の動きの科学的な研究で、近年ではスポーツの世界でも注目されていますが、ここでのキネシオロジーとは、アプライドキネシオロジー(応用キネシオロジー)と言われるものです。
アプライドキネシオロジーは、1964年に考案されたもので、筋反射テストによって、身体の状態や病気の診断を行うもので、体の精妙なバランスが崩れると筋肉に力が入らなくなり、筋肉は体に良いものには強く、悪いものには弱く反応するという筋肉の反応によって診断します。
こうした方法故に、科学的ではないとされる面もありますが、博士の20年間、2万人を対象にした研究から、統計学的なデータとしては、それなりの制度があるものと考えています。
その結果を分析し、まとめたものが、この意識のマップ→スケールなのです。
あくまでも私の思い込みも含めた理解ですので、誤解のある部分があったとすれば、ご容赦ください。
アブラハム・マズローの欲求の5段階というのをご存じの方も多いと思いますが、人間の原初的なニーズを満たしていかないと、高次の欲求を満たすことができないのと同じように(←マズローの5段階欲求については、また別の記事で)、高次の意識レベルは、ネガティブなレベル(領域)からポジティブなレベルへと拡張していきます。
博士の研究で、意識のレベルを0~1,000のスケールで計測したときに、もっとも数値の小さなものから順に、恥、罪悪感、無感動、深い悲しみ、怖れ、欲望、怒り、プライド、勇気、中立、意欲、受容、理性、愛、喜び、平和、悟りという結果を得ました。
これは、精神医学でも、心のケアを行うときに、悲しみを抱えている人に、いきなり大丈夫だとか、元気になるようにポジティブなメッセージが届きにくいように、まずは寄り添って、その悲しみを癒やすところから始めなければ、心や気持ちの回復が難しいのと同じで、悲しみのために無力感を感じ、元気もパワーも出ない状態になるわけですが、怖れを感じられるようになると、筋肉の震えや身体の緊張などが現れます。そして、怒りを感じると感情的にもエネルギーが上がり、興奮し、筋肉にも力が入ります。このように、意識も小さなエネルギーから拡張していき、勇気を持って前に進んだり、争うのではなく、相手の立場も考えながら中立的なスタンスでものごとを見たり、さらに、意欲的に問題を解決していこう、または、創造していこうというポジティブなエネルギーに変わり、受容というレベルでは、他人の意見を受け入れたり、自分が抵抗を感じるものを受け入れることができます。また、理解のレベルでは物事や他者を理解することができ、そして、さらに拡張して、愛のレベルになるとそれは無償の愛であって、見返りを求めない貢献や愛を持ってすべてを受け入れ、愛を注ぐことができます。
「愛」こそがすべて、人間の最高の意識レベルと考える人は多いと思うのですが、実はもっと高次のレベルは、喜びであり、その先に平和があって、最後に悟りがあります。平和までは理解できますが、悟りというのは、なかなかわかりにくいと思います。だだ、これは個人的な考え方なのですが、悟りは多くの人が何でも体験していて、ほんの瞬間かもしれないけれど、満ち足りた瞬間があって、自分の存在すらも空間に溶けて、快適とか心地よいとか穏やかだとかそんな感覚でもなくて、ただ満たされ恍惚のような一瞬を感じたことはないでしょうか?
悟りとはそのような意識状態が、日常の中でどれだけ多くの時間にそこにとどまれるのか、そうした人が悟りを得た人になるのではないかと思っています。なので、悟りは決して遠いもの、意識状態ではなく、誰しもが何らかの悟りは軽々したことがあると思っています。
ここにある表で示したように下から上へと意識のレベルが分かれていて、この数値の大きさや上下感が誤解を生むのかなとも思います。私はあの人よりもレベルが高いと思いたい人もいるでしょう。しかし、意識レベルの上下も、どっちが優れているもありません。ただ、魂の熟成状態、意識の状態がどこの領域に重心があって、その意識レベルを中心に生きているということがあるだけで、それによる人の優劣はありません。
その人はその人の段階で、人生を経験し、魂を磨いています。魂はその意識段階を体験し、そこでの学びをするために、生まれるべくところに生まれるのだと思うのですが、ホーキンズ博士によると、この意識のレベルは一度の人生で、約30ポイント程度しか拡がらないそうです。但し、特別な魂もあって、飛び級的に意識が拡張し、飛躍的に成長する魂もあるそうです。
現在の人類の意識レベル
さて、それぞれの意識のレベルの数値が示されているわけですが、こうしてみたときに、現在の世界の人々の意識レベルの平均値はどれくらいだと思いますか?
数値と言うより、怒りだとか、プライドだとか、意欲だとか。。。そうして考えてみるとどうでしょうか?
世界は平和に見えますか?愛に満ちあふれている世界だと感じるでしょうか?
あなたもきっと、感じていると思いますが、世界は紛争地域や飢餓、貧困、大きな格差はあるけれど、怖れや悲しみばかりのでかいではないと分かります。
とは言え、愛や平和に満ちた世界には、少し遠いのかなと思えます。
パワーかフォースかが書かれたのは2000年前後なのですが(英語の原書の正確な発行年が分からなくなっています。)、その当時は207という値だったようでが、私が博士をインタビューした2006年、博士は2001年のニューヨークのワールドトレードセンターのテロがあって、その数値が203まで落ちたと言っていました。あれから20年も月日が経っていますが、日本では2011年に東日本大震災があり、原発事故があって、日本のみならず、世界中に衝撃を与えました。また、ISテロリストによるテロの恐怖もありましたし、アメリカを始め、世界中で自国主義や右傾化が起こり、中国の台頭による国際情勢のパワーバランスの変化など、さらに、2020年の今年は、何よりも世界を震撼させ、未だ収まる気配のない新型コロナの猛威によって、人々の意識は恐怖や悲しみ、怒りと言ったエネルギーに重心が移っているようにも思えます。
もしかすると、200という値を下回っているかもしれません。
ホーキンズ博士は、200以下のレベルは自分が生き残るためだけに自分のパワーが使われると言っており、200以下はプライドの世界なので、ある意味で自国主義に走る世界を見ても、このプライドというエネルギーレベルは理解できるような気がします。
人類の85%は200以下のエネルギーレベルだそうで、全世界の人口が77億人と言われますが、実に65億人という人々が、プライドや怒りと言ったエゴの領域にいて、怖れや悲しみ、無感動=無関心、無気力の世界にいるというのも理解できるでしょう。
実は、ホーキンズ博士の研究で、大きな希望もあり、私がこのパワーかフォースかという本での紹介で最も伝えたい部分としては、カウンターバランスというものがあって、カウンターバランスとは釣り合いなのですが、400レベルの人が一人がいたら、200レベル以下の人40万人とバランスが取れるようです。500レベルの人が一人いたら、200レベル以下の人75万人、600レベルの人が一人いたら、1000万人の人とバランスが取れます。400は理性(理解)、500は愛、600は平和です。
1回の人生で30程度しか意識レベルは成長させられないと考えても、例えば200以上の意識レベルの人が1ポイント意識を成長させるだけでも200以下の人々の意識の向上に繋がり、200以下の人々の世界をより良く直接的に改善していく方法もありますが、もし、自分が200以上ならば、自分の意識を少しでも向上させる努力をすることで、200以下の人々に意識の変革を促し、結果的に人類の意識レベルを向上させることに繋がります。
人のことをサポートする前に、自分の意識を高める努力によって、その方が世界に貢献できると言うことです。
博士が言うには、出版当時、世界には12人の悟りに達した700以上の人たちがいるそうで、その人が誰だかは分からないと言っていましたが、ただ、カウンターバランスから、12人の悟りの人がいないとバランスが取れないので、そこからの逆算ですが、この存在がいかに大きいかが分かります。
ちなみに、本/パワーかフォースかでは、様々なものを測定しています。何でも測定して、数値化するとわかりやすいですが、数値を低く測定された人は否定的に見たりするかもしれませんが、本の中で測定されているものを見れば納得するでしょう。
今回は、ブランディングやマーケティング、そして、デザインや経営とは直接関係がないように思われる記事となりましたが、経営やブランディングの背景に、こうしたことが大きな意味を持っていることが理解できると思います。
あなた自身の意識のレベルはどうなのか、会社の意識レベルは、商品の意識レベルはどうでしょうか?それはパワーに基づいているでしょうか?ポジティブなエネルギーでしょうか?
会社をより良い方向に向かわせるには、常に、この内なるパワーとポジティブななエネルギーを使う必要があります。ぜひ「パワーかフォースか」を読んでみてくださいね!
次回は、この意識のマップに少し似ているのですが、ニューヨーク、ユニオン・カレッジの心理学科元名誉教授、クレア・W・グレイブス氏の統計的な実証に基づいた理論、人間の発達段階を8つのレベル理論(→研究を引き継いだドン・ベック博士らによって、スパイラル・ダイナミクス理論二発展)についてお話しします!←これもすごい研究!!最近話題の「ティール組織」の元になった理論です!
他にも、いろいろな角度で経営やマーケティング、ブランディング、Webサイト制作について、お伝えしていますので、他の記事もぜひ、お読みください。ありがとうございました!
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Inspirater 和田達哉
株式会社マイルストーンデザイン 代表
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