モデリング〜最短で成長する方法

2021.01.14

師匠の技を盗む。そして、自分の独自のものとする。

 

モデリングという言葉を聞いたことがあるでしょうか?

モデリングと言うことは何かをつくるというイメージですね。
心理学では、何かしらの対象物を見本(モデル)に、そのものの動作や行動を見て同じような動作や行動をすることとされています。

いわゆる「真似る」ということです。

 

見たことがないものは創れない

あなたは「真似る」ということは、気にしませんか?嫌いですか?

私は、デザイン学生の頃から、いやもっと前かもしれませんが、人と同じというのが基本的に嫌いな人間でした。突飛なこともあまり好きではなかったけれど、何か、人とどこか違っていたかった。これは、幼少期からの何らかの葛藤があったことは理解しています。
でも、結局は、何かの真似ごとをしていた、完全なオリジナルなんてどこにもないわけです。

デザイン学生の頃に、デザインはオリジナル、独自性がなければいけない。人のまねをしてはいけない。徹底的に自分で考えると言うことで、前例のあるものはやらない、やってはいけないということを頭にたたき込まれていた←自分でたたき込んでいた感じです。
と言いながら、先生は、いいデザインをするためには、いいものをたくさん見てたくさん体験しなければいけないとも言っていました。なので、素晴らしい工芸作品や美術、芸術を見に、美術館や博物館によく足を運んだものです。

人の真似をしてはいけない。でも、いいものをたくさん見なければいけない。
これって、ある意味で矛盾していないでしょうか?

いいものを見たら、真似をしたくなりますね。それしか見ていなかったら、結局、人間、見たことがないものは創れない。書けない、描けない。表現できないものなんですね。
なので、結果的には、過去に見たもの。体験したものの記憶のリストから、それを組み合わせて表現するしかないので、どうしても似たものになってしまうのです。
実は、この矛盾。大切なところがあります。もう、お気づきでしょうか?

 

いいもの、優れたものをたくさん見る

デザイン学生だった私は、こうしたいいものをたくさん見て、それを本当に理解できていたでしょうか?出来ていなかったと思います。表面的には、何となくこんな感じかなという理解。
物事って、自分の成熟度のレベル以上には受け取ることができない。理解することができません。なので、いいものをいくら見ても、受け取る。理解するレベルは、所詮浅いわけです。

さらに、それを表現しようと思っても、表現する技術。見たもの、考えたものをアウトプットする技術も低い。。。となれば、何が起こるでしょうか?
似て非なるもの。そこまで行けたら素晴らしいくらいです。本人は、結構イケてると思っていても、見る人が見たら「なんじゃこれ!?」ってことになるわけです。

幼児が描いた、パパ、ママの絵を想像してみてください。
子供は、それでも、自分の中では、その絵を見て、頭の中では、ママ、パパでしょうし、精一杯表現しているんです。子供の場合は、まだ、脳の神経回路が十分に発育していないので、そもそも成熟した脳のようには、理解することも、表現することも難しいです。

これと同様に、大人であっても、やはり経験の少ない人には、それを理解し、再現するにはそれなりに訓練熟達が必用です。
工芸の世界では、昔は、師匠は、弟子に手取り足取り教えてくれません。もっと言えば、何も教えてくれない師匠は多かったようです。
何も教えてくれないから、師匠の技をしっかり観察して、盗むしかないわけです。
ここにこそ、結果的に独自性を生む、素晴らしさもあるし、いったい師匠はどうやったらこの素晴らしい表現ができるのだろうと、脳みそをいっぱい使って、脳の神経回路を育てるわけです。この課程こそが大事なのですが、そんなことでは、技を盗むだけで、人生が終わってしまいます。。。笑
昔は、それでもよかった時代だったかもしれません。

つまり、いいものをたくさん見ることは、真似ることではなく、真似ること自体がなかなかできないんですね。当たり前ですが・・・
だから、独自性というのは、下手なものを真似する。パクって、そのレベルに甘んじるのではなく、どうせやるなら、もっと高度な、素晴らしいものを真似ろと。どうせすぐにできるわけじゃないんだからってことです。
そうして、素晴らしいものを、いい意味で真似る。追求していく中で、結果的に、その先のゴールは、自分のもの、自分流のスタイルが混入して、ある瞬間に、インスピレーションが来て、自分らしいものが生まれたりするわけです。

 

パクるのではなく、質の高いモデリングをする

私は、モデリングという言葉を聞いたのは、35歳くらいの時でした。
これは、心理学と言うよりも、NLP=神経言語プログラミングを使った自己啓発出のセミナーでした。
そこでは、ビジネス人生の成功は、いかにモデリングするかということをしきりに訴えていました。
その頃の私は、ビジネスをどうしていいか分からず、とにかく真似をしたくない←習慣だった。
いいものというのは、ビジネスでは成功した大企業や中堅企業のやり方を見ていたんです。ここが大きな問題でした。

私の会社は、社員が10人程度の小さな会社なのに、一生懸命研究していたのは、大企業や中堅企業の姿。ゴールやビジョンにそうした企業を目指すのはいいのですが、目の前の会社のしくみや社員とのコミュニケーション、仕事の進め方など、ある程度以上の企業とはまったくやり方が異なります。参考にする会社の規模が間違っていたんです。

参考にするなら、同規模の会社で成功し、成長し続けている会社を参考にする。真似るべき。。。

しかし、そのセミナーでいうモデリングは、私からしたら、まったくパクリだろうと。。。
そのパクリ感に閉口して、パクると言うことを受け入れることができませんでした。パクることは恥という気持ちがあったからです。それは今でも同じです。

パクるということには、簡単に上っ面だけを持ってきて、それっぽく見せると言うことです。それは借り物であって、本質は何も変わらない。でも、商売の世界は、こんなパクリの方が、儲けるという意味だけなら簡単に成功してしまうと言うことの方が多いのではないでしょうか?

例えば、一昨年ブームになった、タピオカドリンク。何しろ、原価はめちゃくちゃ低いのに、結構な価格で販売できて、利益率が高い。なのに、なんで売れてるんだってくらいに、1坪のお店でも飛ぶように売れる。そんなことから、似たような店がたくさんできただけでなく、既存のカフェで、タピオカドリンクは容易にできたので、新しいメニューにタピオカドリンクを加えるだけで、売上げが上がったわけです。

しかし、誰でもすぐに参入できたわけで、この参入障壁が低いと、競争が激化し、原材料のタピオカ自体が手に入りにくくなり、価格も急上昇し、タピオカドリンクを提供できなくなったお店もあるくらいです。
ブームが去った今。。。いったいタピオカドリンクはどこに行ったのでしょうか。。。コロナのあおりもあって、消えて行きつつあります。

 

最短でビジネスを離陸させるために

モデリングとパクリはここのところが、本質的には異なります。
どうせ真似るなら、もっと高度に真似ろと。。。やるなら徹底的にやる。しかし、中国で見つかる、怪しげなパクリ商法ではなく、しっかり真似ながら、同時にオリジナルであること。ここがもっとも大事です。

モデリングはさせていただく、しかし、元祖を超えるものを創造する。オリジナル、元祖が気がつかなかった。それは、我々にもできない。感服した。。。と言わせるくらいのものにならなければ、やっぱりそれはパクリのレベルな訳です。
このいいカタチのモデリングは、言わば、空母から発艦する飛行機のようなものです。

空母の短い滑走路から発艦するには、カタパルトという射出装置で、急激に離陸速度まで加速します。
飛行機は、機体が浮き上がる速度まで加速しなければ離陸できません。機体が重いと、長い滑走路を必用とします。それは重量に応じた速度=風の抵抗が必用だからです。

すべてオリジナルで作っていくと言うことは、その事業が複雑だったり、高度なものならば、それなりの時間と労力が必用です。
そこを短期間でカタチにしていくには、空母のようなカタパルトが必用で、その方法のひとつがモデリングです。
すでにある方法を用いる。パラグライダーも地上からは飛び立てないけれど、高いところから風を受けるとふわりと浮き上がります。
そんな高いところ、すでにあるものを研究して、上手く取り入れる。ある意味で当たり前のこのこと、モデリングを知っていたか、知らなかったかで、全然効率が違います。

考えてみれば、自然界も、私たち人間も、すべて真似から生まれ、成り立っています。

全くオリジナルの存在はいません

私たちは、親の鋳型、DNAをもらって、いまの身体の組成があり、そのDNAはご先祖さんから延々とつながりながら、少しずつ進化して来ました。

無から有は生まれません
もし、生まれたら、それは化け物です・・・笑

コンピューターがここまで進化しているのも、集積回路を作る技術がどんどん進歩して、回路がユニット化して、そのユニットをまとめるユニットができて、さらにそのユニットがさらに大きなユニット。。。というように、ロシアの伝統的工芸、マトリョーシカのような入れ子構造になっています。

子供たちが学んでいるプログラミングも、最初はこうした命令を出せるユニットを組み合わせて、ロボットやコンピュータを動作させるところから始めます。
言葉の文法と同じです。文法を変えると意味が変わってしまうのと同じです。
そのユニットを用いることで、最初から高度なことができますが、最初のトランジスターから設計するには、今では、天文学的な時間がかかってしまいます。

もし、あなたのビジネスや商品開発がうまく行っていないとすれば、このモデリングという考え方を試してみてください。
成功している素晴らしいモデルを参考にする。モデリングする。当たり前のことなんですが、以外に、それができなくて、自分流を貫き通す経営者の方もいます。

モデリングはパクリではなく、独自性に至る最短の成功の道である。
敬意を持ってDNAを受け継ぐ気持ちで・・・

そのようなものに昇華させなければ意味がない。。。
ぜひ、モデリング、改めて考えてみてください!

他にも、いろいろな角度で経営やマーケティング、ブランディング、Webサイト制作について、お伝えしていますので、他の記事もぜひ、お読みください。ありがとうございました!

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Inspirater 和田達哉
株式会社マイルストーンデザイン 代表