ブランドモノリスは共通言語

2021.01.08

価値感が異なる中で共通の認識を持つための柱

 

ブランドモノリスは会社のGPS

私がお伝えしている会社のブランディングでは、ブランドモノリスを創ることをもっとも重要なものとしてお伝えしています。

ブランドモノリスとは、このブログの他の記事でも何度かお話ししているのですが、会社、経営においてもっとも大事なこと言葉として、また、ビジュアル(視覚言語)として明確にして、経営やビジネスを行っていく中で、それを旅とするならば、自分がいまどこにいて、どっちの方向に向かっているのかを確認するための重要なコンパスにあたるものになります。

コンパスというと、GPSナビゲーションが発達しているこの時代に、地図とコンパスなんて時代遅れのように聞こえますが、結局、ナビゲーションは自分がどこにいるのかを衛星を使って確認しているわけです。このとき、GPS装置があるから衛星を使って、自分の位置を特定できるわけで、このGPS装置にあたるのが、経営におけるブランドモノリスということです。

ブランドモノリスが精度高くできていると、ビジネスや経営を行っていく中で、お客さんの反応や社員からのレスポンス、経営者自身が体験すること、感じることなどを得たときに、漠然とした感覚や曖昧な情報として受け取るのではなく、その反応について、それがどういう意味を持つのかをより明確に理解できるようになります。または、そのレスポンスを意識するようになるので、反応を認識すること自体に積極的にもなり、言わば、周囲の環境から今の自分を認識することができるようになります。

ブランドモノリスがなくても、自分が何をしたいのか、どういうゴールを目指しているのがはっきりしていれば、そこに向かえるという人も多いでしょう。それもわかります。しかし、二人くらいなら膝をつき合わせて、お互いを理解し合えるかもしれませんが、3人以上になってくると、意見に相違が表れてきて、行く先、ゴールは共有できても、私は海沿いの道を通っていきたい、私は山のトレイルを通ってダイナミックな自然を味わいながら行きたいなど、意見が分かれてくるかもしれません。
人はそれぞれに価値感や文化が異なるので、人数が多くなれば、人ぞれぞれに考えていることが異なるので、みんなが納得するか、理解してもらって進んでいく必要があります。

 

全員で共有する大切な価値感の濃縮されたエッセンス

会社に限らず、何かを成し遂げようとする場合に、みんなで力を合わせる必要があります。重いものを数人で持ち上げるときに、せーの!で一気に持ち上げたら、すっと持ち上がりますが、みんながバラバラに力を入れても持ち上がりません。
チームが一丸となり、協力し合って、同じ思いで進むことができたら、それほど力になることはないのです。

そういう意味で、みんながひとつになるために、共通の認識、旗印を持つことが必要になります。
◎何のためにこれをやっているのか?
◎会社はどこへ向かおうとしているのか?
◎やりたいことは何なのか?
◎自分たちはどんな技術や道具(リソース)を持っているのか?

会社の理念は最も重要で、何のために会社があるのか?何のために経営しているのか?が明確になりますが、それだけでは理解できない人、また、身体に染み渡るものとしては、具体性に欠けるものになりがちです。精神論になって、具体的に何をしていいかわかりにくいと言うことが起きます。人によって理解度が異なるからです。

情報共有率という言葉があります。ハリウッド映画が世界で興行成績が伸びるのは、文化や価値感、考え方の異なる多様な民族や個性を抱えるアメリカでは、日本のような共感覚というような、日本人なら多くの人が分かる、共有している感覚がかなり異なります。
例えば、日本人なら、お正月に初詣に行くとか、お葬式は仏式だったり(あくまでも多数がということです。宗教観によって異なります。)、日本人ってこんな感じという共通した認識があります。しかし、外国に行くと、それが日本人ならではの特性だったり、外国人の方には驚かれるような、感覚を理解してもらいにくいものがたくさんなることがわかると思います。

これは日本に限らず「ところ変われば・・・」ということでもありますが、昔に比べ、グローバル化やインターネット社会になって、世界の文化の違いに昔ほど驚くことはなくなったとは思いますし、世界的な均質化も起こっています。

ハリウッド映画では、その多くが最初から世界戦略で見ているので、アメリカでウケるモノは、世界でウケる可能性が高いわけです。なぜなら、多様な民族やルーツ、個性を抱えるアメリカでウケることは、イコール世界でウケるのと同じです。

なので、ここが大事なところですが、みんなが「わかるわかるその感じ」という部分を中心に映画の骨組みが作られているわけです。それは、人間だったらみんなが感じる喜怒哀楽、ドキドキする興奮やときめき、スリリングさ、緊張感、人の優しさや愛への感動、苦しみや悲しみへの共感など、もちろん日本映画でも同様な面は多いのですが、脚本や演出の面でこの辺りをどのようなものにしていくかは、大きく異なります。

特に、日本映画の魅力は、日本人だから分かるという共感覚が深く横たわっている方が共感度は高く、深い感動を呼ぶと思います。

日本発で世界に受け入れられている漫画やアニメ、テレビゲームは、ドラゴンボールだったりドラえもん、ワンピースなどの漫画やアニメ、ポケモンにドラクエ、スーパーマリオなどのゲームは、勇気や努力、友情や優しさ、愛がテーマとなっていて、人の持っている本質的なことがテーマなっているから世界で受け入れられるのでしょう。

ブランドモノリスは、このように全員で共有する文化大切にする(している)価値感もっとも濃い核となる軸、濃縮されたエッセンスのようなものと考えてもらえるといいでしょう。このブランドモノリスに触れると、あっこれだと、すぐに味が分かる我が家の味のような。

 

ブランドモノリスはマインドフルネス

会社の経営、運営も、人生を生きる上でも、日々の業務や生活の中で、気がついたら目の前のことばかりに集中したり、気を取られてしまいます。
そして、その目の前のことばかりに気を取られ、翻弄されていくと、それはロープをたぐり寄せるように、そのロープの先にあるものを引き寄せてしまいます。
ロープをたぐり寄せることと、その先にある結果に時間やエネルギーが注がれてしまうのです。

本当に大切なことは何か? 何をしなければいけないのか? 目の前にあるロープも大事かもしれないけど、その作業をしながら、ちゃんと本当の目的地へと歩きを止めずに歩んでいかないといけません。そのために、ブランドモノリスがあり、モノリスからある程度離れたら、ピコンピコンと警告のアラームが鳴るように、いつもブランドモノリスを意識して、そこに立ち返ることが大事です。

ブランドモノリスは、ナビゲーションと同じで、ブランドモノリスをしっかりと認識して、活動していくことで、必ず目的地に着けるものになるし、そのようなものでなければいけません。

私は毎朝、瞑想の時間を持ちますが、瞑想も全く同じです。瞑想をされたことのある方はわかると思いますが、瞑想を始めるといろいろとイメージや言葉、感覚や物語が意識の中で起こってしまいます。私はそれを「ウサギを追いかける」と言うのですが、意識の中にかわいいウサギが現れて、ピョンピョンと跳びはねてどこかへ行くわけです。いつの間にかウサギを追いかけてしまい、話はまるでアリスの不思議な国ですが、どんどんその先の自分の意識が織りなす物語の世界へと入っていってしまいます。

また、気になっていることや考え事などが去来し、いつの間にかそのことを考えていたりと意識、脳内は、いつも思考やセンセーションが沸き起こります。
そのために、その去来する様々なものから離れて、常に自分「いまここにいることができるように、呼吸に集中したり、私の場合は、マントラをずっと心の中で唱えたりします。いつもそこが中心軸です。気がついたら戻る。。。これをトレーニングすることで、例えば、自分が怒りや悲しみなど、不必要な感情を感じているとしたら、すぐに自分に戻って、冷静に状況に対処することができるようになります。

マインドフルネスとは、まさにそのような状態であり、その感覚を訓練していくことですが、マインドフルネスは、例えば、コップにお茶をひたひたに入れて、お盆に載せて運ぶ感じです。

お茶をこぼさないように歩きながら、周りの障害物を越えていくために、同時に、周囲にも注意を向ける必要があります。

バラバラに散らばったレゴブロックを集めて、組み合わせて好きなものを創るように、散らばっている会社にとって大切なものを一つ一つ集め直して、組み立てていく。

社長、経営者の頭の中にある、会社の核となるもの、自分では分かっていても、他の人にわかるとは限りません。これを見える化する。これがブランドモノリスです。
このように、ブランドモノリスは、常にこのブランドモノリスが会社の中心であり、会社においては社員が常に立ち返る軸であり、ここにいながら、周囲に注意を向ける。つまり会社の活動をしていくと言うことになります。

ブランドモノリスがなければ、会社が散漫なもの、場合によっては霧のようなつかみようがないものになってしまうかもしれない。その感覚は理解してもらえるでしょうか?
ぜひ、ブランドモノリスを明確にしてください。

他にも、いろいろな角度で経営やマーケティング、ブランディング、Webサイト制作について、お伝えしていますので、他の記事もぜひ、お読みください。ありがとうございました!

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Inspirater 和田達哉
株式会社マイルストーンデザイン 代表