会社、商品のブランドをどう創るか?
2019.11.17
洒落おつなデザインで統一感を持たせる?
ブランディングと一言で言っても、いろいろな考え方があって、どういう領域でブランディングを捉えるかによって、ブランディングをどう扱うか変わって来ます。
ここでは、デザインとブランディングについて見ていきたいと思いますが、ブランディングとはなんぞやと言うところにも少し触れていきたいと思います。
センスのいい、洒落たデザインで会社や商品のロゴマークやWebサイト、パンフレットなどを統一感を持ってまとめる。これもブランディングとして大切なひとつの方法ですが、ブランディングを本質的に見ると、ブランディングの役割や行う範囲は広く、深いものになります。
ブランディングとは、本質的には、その会社や商品が、顧客に対して、また、人々、社会に対して、どのように受け取られるかをマネジメント(ある意味では管理)していくということです。
その管理をどのようにしていくのか、どう表現していくか、そこで、品良く、センスよく、より良く見えるようにしていくと言う意味で、センスのいい、質の高いデザインが用いられると言うことはよくあります。
しかし、ブランディングとして、決してそれが正しい方法というわけではなく、泥臭く、時に、バタ臭いありのままの姿(←表現とはいいません)が、ブランドになっているということもあるのです。それについては、後半にお話しします。
どう受け取られるかをマネジメントする
ブランディングとは、ブランドづくりですが、どう受け取られるかをマネジメントしていくということを言いましたが、それは、企業の目的としては、会社や商品が、ターゲット顧客に選ばれるものになることです。
ブランディングのためにやることはいろいろあれど、それはすべてターゲット顧客、つまり、その会社や商品のお客さんになってくれる人に選ばれてこそのブランディングであって、いわゆる、高級ブランドやそのジャンルで人気のブランドなどで使われるような、有名だからとか、セレブや本物を知る人々に認められているからブランドであると言う時に使うブランドと言う意味とは異なるわけです。(←高級ブランドも、セレブが顧客だとすれば、彼らに求められるという意味ではまさしくブランドなのですが。。。)
あなたの会社や商品のお客さん、すなわちターゲットとしているお客さんに、選ばれる=買ってもらい、さらに、それがずっと続くこと。
お客さんがいつも指名してくれて、選び続けてくれる。買い続けてくれる。その商品、サービスが、その人にとっての生活や人生の一部になっている。そうした関係性が続き、強められていくこと。これをエンゲージメントと言いますが、そういう強固な関係、信頼される関係が続くことが、その人にとってのブランドと言うことになります。
こうした意味では、企業の大小に拘わらず、そこにお客さんがあって、ある一定数のリピーターや口コミ客が存在すれば、それは、その人にとってのブランドであり、それがどんどん拡大していくことは、ブランディングとして効果や成果が出ていると言うことです。
泥臭さを売りにすることもある
ブランディング、ブランドと言うと、センスが良くて、上品だったり、オシャレだったり、かっこよかったりと、デザイン性の良さや品質が高いものというイメージがありますが、決してそうではありません。
デザイン=センスが良くて、品質の高いものというわけではなく、センスの捉え方、考え方と言えるでしょうが、例えば、下町の商店街の八百屋さんで地元の人に絶大な人気だとか、昔からやっているちょっと小汚いけど、いつも行列ができるラーメンやさんとか、いわゆるデザイン性とは違うところで人気のお店、商品、会社もあるわけです。
こうした店が、お店をリニューアルして、風情や独特の世界、文化がなくなって、事業が傾くというような話もあり、こうした場合、ブランディングなどと言う言葉は使わないかも知れないけれど、大切にしてくれているお客さんは、何に?どういう所に魅力を感じて足を運んでくれているのか?
何よりも、何でもリピートしてくれて愛してくれているお客さんたちを裏切ってはいけません。
センスとは何か?
80対20の法則というのがあります。20%の得意客(VIP客)が80%の利益をもたらしてくれていて、80%の一見さんやたまに来る不特定多数のお客さんは、売上げ全体の20%の利益しかもたらしていないというものです。
この得意客がとても大事なのに、彼らの思いを無視したら、お店は傾くわけです。彼らが大切にしているもの、それがブランドとして大切なものであり、提供し続けなければいけないものです。
デザインを考える時に、私たちはここをもっとも考えます。
デザインはセンスがよくなくてはいけない。これは正解ですが、どういう見地でセンスを捉えるかはとても重要です。
キレッキレに高品質で、上質なテイストにするか、クールなカッコイイものにするか、アーティスティックで感性の高さを提供するか。。。こうしたものは、デザインを考える時に抱きがちなイメージですが、ブランディングとしてデザインを考える時、何よりもターゲットは誰か?これが一番に考えられる必要があり、そのターゲットが求めている世界、ニーズを満たすデザインとは何か?どんなテイストか?そこを満たして行くことが、ブランドデザインの成功と言えます。
ブランドデザインのマトリックスとして以下のような分類が可能です。
ブランドデザインを考える時、どんな世界を創造したいのか?表現したいか?
その事業や商品、サービス、お店づくりなど、どのような世界観を大切にしていくか?
ここがすべての軸であり、源になります。
それが、上記のマトリックスでどのポジションに来るか、この辺りから考えてみるのもひとつかと思います。
コンタクトポイントを丁寧に扱う
ブランディングはデザインだけでなく、コンタクトポイントをどう扱うかということが大切です。
コンタクトポイントについては他の記事でお話ししますが、顧客が会社や商品に接する全ての部分がコンタクトポイントです。
商品やサービスの品質やそれがどんな体験をもたらすかだけでなく、社員や店員の態度、環境、コミュニケーションのあらゆる部分などなど、そこでどういう体験をするのか、その体験をどんなものとして創造していくか?この全体としての体験をマネジメントしていくことが、ブランドづくりの本質です。
あなたが、顧客にどんな体験を提供したいのか?
そこにブランディングのすべての答えがあるのです。