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シリコンバレーでアクセラレータープログラム/VC編Vol.2
2020.11.14
金にならなきゃ投資しねぇ~当たり前か!
VCベンチャーキャピタリストから軍資金を出してもらうには?
種を巨木に育て、たくさんの実を実らせるためのレバレッジ
前回、好評だった、シリコンバレーでアクセラレータープログラム。今回は、その続き。もう5年も前の話なので、日進月歩のシリコンバレーの世界では、もう遠い昔のお話になってしまいますが、本質は変わりません。ここでは、最先端のお話ではなく、そんな経営に関わる本質的なお話をお伝えできたらと思います。(あくまで私見です)
さて、前回、アクセラレータープログラムに参加した顛末と、楽しいハッカーハウスのお話をしました。この記事で、ハッカーハウスでお世話になったオーナーの竹内夫妻の奥様、竹内ひとみさんから連絡をいただき、現在拠点を移動して、新たな活動を行われていますが、なんと起業家としてデビューしていました!おめでとうございます!このお話は、またそのうち・・・
アクセラレーターとは、前回もお話しした、スタートアップを加速させるための仕組み、サポートなのですが、通常、こうしたプログラムは単独で行われているのは珍しく、VC=ベンチャーキャピタル(→投資会社ですね)が、彼らが投資対象に選んだスタートアップ企業を支援するために、アクセラレータープログラムに入れる、もしくは、VCから支援を受けたい(出資を得たい)スタートアップが、彼らが行うピッチコンテストに参加して勝ち登り、評価を受けたらVCから出資してもらえるチャンスを得られるので、こうしたピッチコンテストに参加するのですが、出資と同時に、速やかに成長できるように、経営やイノベーション面での支援を受けるわけです。
スタートアップ企業の多くが、アイデアは素晴らしい、革新的だったり、ユニークだったりするけど、それを市場に出すための商品化や製品化に昇華させるには、やはり市場適合やそのアイデアをもっと精度を上げていかないといけなかったり、企業として成り立つために、経営戦略や事業計画、企業体としての組織づくりなど、会社としての体(テイ)をなす必要があるわけです。
せっかくの素晴らしいアイデアなのに、企業として組織が上手くいかず崩壊する例もたくさんあります。
とても質のいい種も、いい土壌といい環境がないと発芽しません。ユニークなアイデア思いつく人は、世の中にたくさんいます。通勤電車の中で、車窓の風景を見ながら、また、日常の暮らしの中で「おっ、こういうのあったらいいな」とか、思いついている人はたぶん、ものすごくたくさんいるわけですが、結局、ほとんどのアイデアは発芽することなく霧散してしまいます。
こうしたアイデアを大切に育て、発芽させようという情熱のある人だけが、この種を発芽させることができるのです。しかし、そこから先に、この種を巨木に育て、たくさんの実を実らせるためには、しかもそれをできるだけ最短で行っていくには、レバレッジ(てこ)が必要で、そのレバレッジとなるものの一つがアクセラレーターと言うことになります。
VC=ベンチャーキャピタルとエンジェル
VCはこうしたスタートアップの中から、市場性があって、成長性の高いものを選んで、投資を行うのですが、まったくを持って当たり前なのですが、彼らは「金にならないと出資しません」それだけではなく、ハイリターンが見込めるものにしか投資しません。急成長するスタートアップを探しているわけです。
ここで、エンジェルという存在があります。エンジェルは、VCと異なり、元起業家で成功した個人投資家が多いようです。VCはそもそも、投資ファンド会社で、投資家からの資金を運用しています。つまり、人のお金を運用するプロで、資産運用で大きな利益を上げて、投資家にリターンを配分します。その運用益がVCの利益となります。そういう意味では、彼らはある意味で血眼になって、儲かりそうなスタートアップを探しているわけです。そして、その選択眼は厳しく、なぜなら、投資家を儲けさせることで、その対価をいただくわけで、その運用成績のいいVCはさらに投資を得られるからです。そのパフォーマンスこそがVCの資質になります。
でも、エンジェルは異なります。エンジェルからの投資はVCに比べると比較的少額で、VCは2億円~3億円以上の投資額と言われますが、エンジェルは、500万円~2,000万円程度の投資額と言われます。
エンジェルは、VCのようにガツガツした感じはなく、スタートアップの内容や創業者の思いを聞いて、彼らの心が動けば、出資を得られる可能性もあるわけです。こうしたエンジェル数人から資金提供を受けることも可能です。実際に、僕のお友達もこのような何人かのエンジェルから同時に投資を得ています。
それはスケールするのか?儲かるのか?
さて、アクセラレータープログラムの話でしたね。。。笑
先にお話したように、多くの場合、VCがアクセラレータープログラムを用意し、または、アクセラレーターとなって、出資と同時に、VCで育てることを目的に、アクセラレータープログラムを提供します。なので、こうしたプログラムは、VCの支援として無料で受けることができます。
今回、僕が参加したのは、VC関係なく、起業家向けの支援を行っているコンサルタント会社が、有料で行っているスタートアップ研修として、アクセラレータープログラムを提供しているものでした。
このプログラムでは、最後にVCの担当者や投資関係者10人くらいが集まって、彼らの前で英語でピッチを行うというのが、僕にとっては最大の難関でした。。。苦笑
このプログラムでは、参加者はそれぞれ自分のスタートアップのテーマを持って参加していました。僕は、このプログラムに参加した目的が、そもそも、シリコンバレーのスタートアップの世界を覗いてみる、体験してみるというのが僕の参加した理由で、そこから得たことを自分の会社やお客さんに役立てられたらと言う思いだったので、正直、具体的なテーマがなかったのですが、ちょうどやってみたいと思っていたものがあったので、それをテーマにしました。
そのテーマとは、現在もずっとWebサイトやプロモーション関連で、お手伝いさせていただいているのですが、依存関連の回復組織「ワンネス財団(一般財団法人ワンネスグループ)」さんのお仕事の中で、依存回復(彼らは依存は病気ではない状態であるというスタンスで、依存症と敢えていいません。)のプログラムを中に入ってよく見させていただいていたので、その中で、回復施設につながっていない、なかなかつながれない方、また、それほど依存が強くないけれど、傾向がある方向けに、依存傾向をチェックしたり、軽度の依存から脱却したり、また、回復者にその後のケアとして、セルフマネジメント(自己管理)を行ってもらえるスマホアプリを開発することを思いつき、それによるスタートアップとして臨みました。
しかーし!。。。前半は、自分の企画、テーマを見直したり、スタートアップやスケールに必要なノウハウなどを学んで行くうちは、何も問題なく、自分でも思った以上にいいテーマだなと思っていたのですが、後半で、VCのアドバイスをもらう段になって、思わぬ事態が。。。笑
VCのコンサルを受けたら、一言「どこにスケールするマーケットがあるの?」と・・・
僕の頭の中には、依存で苦しむ人や依存傾向がある人に、本来の人生を取り戻してもらうために、また、セルフマネジメントとして、アプリの展開の可能性があると考えてやっていたんだけど、彼らからしたら、これは商売にならない←彼ら的に、投資対象ではないという、非常にクールな判断、見立てをされて、その後の話でも、テーマを変えた方がいいんじゃないかと言うようなアドバイスを受け。。。正直「なんじゃとぉーっ!」ときっと顔に出てたと思います。
いまなら言い返す英語力がある気がしますが、当時の英語力では、ガッツリ言い返す語彙が足らず、悶々とした気持ちでコンサルを終えたのを覚えています。「結局、金かいっ!!」
いや、これは僕が間違っていたのです。助言を求める相手が間違っています。彼らは「私たちが投資するのは急成長する会社だから、あなたがもしあなたが、急成長したいなら、そんなビジネスモデルを選ぶべきだし、考えないとだめだ」と。そんなアイデアなら喜んで出資したいと、彼らはいつでもお金を出す準備があるわけです。ないのは、こちらの準備。。。
そのアイデア実現したいという〝たぎる〟熱い思いはあるか?
まもなく、公開となる映画「えんとつ町のプペル」の制作総指揮・原作・監督の西野亮廣さんが、クラウドファンディング=クラファンのことで語っていたことがあります。
多くの人がクラファンで資金を集めることができないと。これは、クラファンを根本的に間違った使い方をしていると言うのです。
クラファンで資金を集めようという考え方自体が間違っている。クラファンはそもそも、お金を集める場所ではなく、両替をする場所だと。つまり、お金に換金する場所。
どう言うことかというと、すでにいつでもお金に換えられるアイデアや企画があって、それをクラファンに持って行くと、その信用、価値の分だけお金に替わるということです。
なので、適当なネタを持って行って、一生懸命声をかけたところで、それ相応の価値がなければ、魅力がなければ、欲しい、応援したいとと思ってもらえなければ、お金には替わらないわけです。
投資家から資金を得るのも全く同じ。VCのピッチコンテストにしても、エンジェルから投資を得るのも、銀行からお金を融資してもらうのも、
◎そのアイデア、ビジネスモデルがどう言う結果を生むのか?
◎どう言うマーケットがあって、誰がお客さんで、どれくらいの利益を生めるのか?
◎投資してくれた人、会社にどれだけ還元できるのか?
◎応援してくれる人に、どれだけ感謝をカタチとしてお返しできるのか?
こういうスタンスで考えると、果たして、自分のアイデアはなんぼのもんだろうという風になるわけです。
アイデアもそうですが、何よりもこの企画を事業化したいと考える創業者が、それを本当に、本当にやりたくて、何とかカタチにしたくて、その思い、熱い情熱がたぎり、水をかけられても燃え続け、前進し続ける、そんな熱量があるなら、そんなアイデアは、いつか芽吹くと思います。
でも、少し釘を刺されたからと言って、諦めるようでは、本気度が足りません。他人の投資を得ようと思うなら、どんなことがあっても前進する戦車のようなトルクとパワーとキャタピラが必要です。そんな熱い熱量があれば、必ず成功するはずなのです!(語っている僕が熱くなった!笑)
スケールを実現できる経営者
自分では、これはすごいアイデアだ。これならビジネスになる。儲けられるとワクワクしても、実際にビジネスモデルを考え、詳細なビジネスの仕組みや何よりもお客さんは誰?を考えていくときに、どこかに破綻があれば、それは成り立たないわけです。
VCの人たちは、投資のプロであると同時に、こうした事業を見立てるプロでもあります。
無数のスタートアップを見てきている中で、今後どういうビジネスが成長していくのか?どんな創業者がどこまで会社をスケールできるのか?技術もアイデアもいいけれど、この創業者なら売上げ数億くらいまではいけるかもしれないけど、10億円を超えて、100億円、1,000億円の売上げを超えていく中で、CEOとしての資質が足りない。成長しそうにないということも十分あります。
そういう場合は、その資質の限界点で、CEOを退任してもらい、会社をスケールできるCEOにバトンタッチします。創業者は、技術顧問や株主として立場を譲ることも多々あります。
あのスティーブ・ジョブズが一時期、アップルコンピューターを追われたのも同じようなもので、投資家たちに応えられなかったら、応えられるCEOに取って代わらざるを得ません。
そう考えてみれば、僕が持って行った依存回復という領域で話をしたことが残念な結果だったのかもしれないけれど、セルフマネジメントのアプリは、当時はまだもう少しでしたが、いまやHRテックと言われ、いわゆるヒューマンリソースのテック分野は、ものすごい市場が拡大していて、続々新しいスタートアップが参入しています。こうした分野で、当時考えることができたら、もうちょっと違っていたかもしれません。
さて、今回もVCのことを語っていただけで、こんなに長くなってしまった。。。
3回で終わる予定でスタートしたシリコンバレーの物語、まだまだ続きそうです。。。笑
次回は、今回お話しした投資家たちが、ピッチもそうですが、投資を判断するのに、たった1枚のA4シートを見ている。。。
そのシートとは?についてお話ししたいと思います。乞うご期待!
シリコンバレーでアクセラレータープログラム【Vol.1】はこちら
他にも、いろいろな角度で経営やマーケティング、ブランディング、Webサイト制作について、お伝えしていますので、他の記事もぜひ、お読みください。ありがとうございました!
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Inspirater 和田達哉
株式会社マイルストーンデザイン 代表
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